夏目漱石

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夏目漱石

夏目漱石(なつめ そうせき、1867年2月9日(慶応3年1月5日) - 1916年12月9日(大正5年))は、日本人の小説家、英文学者である。現在の東京都生まれ。

出典が確かなもの[編集]

小説[編集]

  • 我輩はである。名前はまだない。
    『我輩は猫である』
  • 次第に楽になってくる。苦しいのだか難有いのだか見当がつかない。水の中に居るのだか、座敷の上に居るのだか、判然しない。どこにどうしていても差支はない。只楽である。否楽そのものすらも感じ得ない。日月を切り落し、天地を粉韲して不可思議の太平に入る。吾輩は死ぬ。死んでこの太平を得る。太平は死ななければ得られぬ。南無阿彌陀佛南無阿彌陀佛。難有い難有い。
    『我輩は猫である』
  • 智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。
    『草枕』
  • 門を入つて振り返つたとき、
     憂の國に行かんとするものは此門を潛れ。
     永劫の呵責に遭はんとするものは此門をくぐれ。
     迷惑の人と伍せんとするものは此門をくぐれ。
     正義は高き主を動かし、神威は、最上智は、最初愛は、われを作る。
     我が前に物なしただ無窮あり我は無窮に忍ぶものなり。
     此門を過ぎんとするものは一切の望を捨てよ。
    という句がどこぞで刻んではないかと思つた。
    『倫敦塔』
    引用部はダンテ・アリギエーリ『神曲』地獄篇
  • 可哀想だた惚れたつて事よ。
    『三四郎』佐々木与次郎による "Pity's akin to love" の翻訳。
  • 親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。
    『坊ちゃん』
  • 精神的に向上心がないものは馬鹿だ。
    『こころ』
  • 涙がこぼれる程だと譬に云うが、涙が出る位なら安心なものだ。涙が出るうちは笑う事も出来るに極ってる。
    『坑夫』
  • 凡ての創口を癒合するものは時日である。
    『門』

俳句[編集]

  • 叩かれて 昼の蚊を吐く 木魚哉
  • 凩や 海に夕日を 吹き落とす
  • 雲の峰 雷を封じて 聳えけり
  • 菫程な 小さき人に 生まれたし 
    『漱石俳句集』

書簡[編集]

日付不明のもの[編集]

  • ぬか生きるか、命のやりとりをする様な維新の志士の如き烈しい精神で文學をやって見たい。
    鈴木三重吉宛書簡より
  • になる事はどうしても必要です。
    芥川龍之介、久米正雄に宛てた書簡より

その他[編集]

  • ⽂章ではなくって字引である。
    『イズムの功過』